看護学科の稲垣です。後期の母性看護学実習が9月13日から始まりました。9月は新型コロナ感染拡大の警戒レベルが3のため病院での実習はできませんでした。
受け持ち対象の看護過程の展開はペーパーペイシェントを使用しており、本物のあかちゃんや妊産婦と関わること、現場の雰囲気や看護職の動きのリアルな体験ができない状況です。そこで、学内にあるモデル人形や模型をフル活用して、少しでも病院実習に近い体験ができるように工夫を凝らしています。今回はその一部をご紹介します。
妊婦さんや子育て中の母の気持ちを体験してもらえるように妊婦体験モデルを装着して半日過ごしました。階段の昇降、靴ひもを結ぶ、ベッドでの起き上がり…などやってみると、腰部痛や肩こり、息切れが出現し、実際の妊婦が経験するマイナートラブルを体験できたようです。今後本物の妊婦に関わる際にいろんな配慮やサポートに活かせると感想を話してくれました。特に男子には貴重な体験となったようです。
「寝かせたままにすると啼泣する」という想定で新生児人形を1日中抱っこして過ごしました。「寒そう」と掛物をかけたり、抱っこしたまま作業したりと、呼び方も「人形」から「うちの子」に変化し愛着形成されていました。
また、「かわいいけど作業ができず困った」「自分の自由な時間がとれない」「これが毎日と思うと気が滅入りそう」という感情が生じ、子育て中の母親がリフレッシュできる場所や時間の提供の重要さを体験から理解できたと述べていました。
毎日1つずつアハ体験したことを発表し共有しています。アウトプットすることで妊産婦の理解が成人の解剖生理につながったり、新生児の理解から小児の理解につながったりと、広く深く理解できているようです。
10月は何とか病院実習ができるようになりましたが、時間や人数制限があり短い時間での実習となります。限られた状況の中ですが、現地での実習からアハ体験がたくさんできるように実習をサポートしていきたいと思います。