村井嘉寛
いつものように自宅でテレビに流れるニュースを見ていた。東京の都立A病院でコロナウイルスによるクラスターが発生し、看護師も感染したというニュースだった。何か聞き覚えのある病院で、私は妙に引っ掛かりを感じた。私はすぐに今年春から念願かなって東京都立A病院に就職したYさんのことを思い出した。私のAD学生で、小さい頃その病院の看護師さんがとても親切で看護師になるきっかけにもなった病院であった。ラインで直ぐに連絡を取ると、自分は新人研修中で感染していないが病院内はとても緊張した空気だと伝えてくれた。その連絡を受けてほっとした一方で、多くの卒業生が看護師として色々な病院で働いており、コロナウイルスに感染しないで元気で頑張っているのかとても心配になった。
コロナ感染の影響は福祉短大も例外でなく、色々な影響を受けることとなった。3月の卒業式は学校全体では行われず、学科ごとの縮小された卒業式となり、都合で欠席する卒業生もでた。入学式も全体では行われないで、短時間でガイダンスを含め済ませるという状況となった。せっかく入学しても対面授業が行えない状況で、ようやく4月下旬から、オンラインでの授業が開始された。その後、われわれ教員も慣れないオンライン授業にようやく慣れたころにコロナ感染が少し下火となり、対面授業が開始された。その影響なのか、今年の新入生の顔が覚えられない。今年は対面授業でも質疑応答などはしないようにしているうえに、マスクをしているので、皆同じ顔に見えてくる。これは高齢となった私だけなのでしょうか。年々その傾向が強くなっているような気もするが。今年の夏は特に暑い日が続き、熱中症で死亡する高齢者も多い。コロナ感染も高齢者が重症化しやすく、つくづく危険なお年頃になってしまったと愕然とする。少しでも残っている元気さを維持するために、ゴルフ場へ行く回数を増やそうかと今密かに企んでいる。
先日、東京から帰省したYさんが夏休みで私の研究室を訪ねてくれた。看護師にやりがいを感じ、とても周りのスタッフにも恵まれ元気で頑張っていることを話してくれた。後輩にもぜひ東京都立A病院がとても良い病院であることを伝えて欲しいと言っていた。現状に満足して頑張っている姿を見ることができたことはとても幸せだった。こんなコロナ禍の時代だからこそ、一人でも多くの使命感を持った看護師を育てようと思う。そんな強い気持ちを持った人が福祉短大に多く入学してくれることを願っている。