富山福祉短期大学

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ふくたんMEDIA

2023.06.14
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.24

下町ロケット

この小説は、東京の下町にある佃(つくだ)製作所という精密機械製造業者に勤務する主人公(社長)の佃航平とその企業の話である。TVドラマ化もされています。

佃製作所が元請先企業の帝国重工にロケットエンジンの部品を長年納品し、絶大な信頼を得ていたが、ある日、帝国重工の内部事情により、そのロケットエンジン開発事業に影響が出てしまう。佃製作所は、他の事業(農機具部品開発)にも参入して企業の生き残りを図っていくことになるが、競合他社との競争や取引先の人間関係など製作所を取り巻く環境が厳しくなっていく中で、佃は、取引先に裏切られ、苦しみながらも利用者のためを第一に部品開発にも挑んでいき、周囲からの信頼を得ていくというストーリーである。

図書館では、下町ロケット、ガウディ計画、ゴースト、ヤタガラス編(全4冊)を所蔵しています。長編となっておりますが、どの編も面白味のある内容となっております。

2023.06.05
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.23

『大ピンチずかん』鈴木のりたけ /著 小学館
・紙パックのジュースのストローが全部中に入って取れない。
・テープの端がみつからない。
・アイスが溶ける。
・バッグの中で水筒がもれる。
・思っていたより髪が短くなった。
あの時はこの世の終わりみたいな気持ちになったのに、今では、そうそうこんなことあったと、クスッと笑えます。
このずかんに載っている数々の大ピンチのうち、実際に出くわしたものを数えるのも楽しい1冊です。(司書2)

 

2023.05.22
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.22

『明日も一日きみを見てる』角田光代/著 角川書店
タイトルだけだと、ストーカーな印象を受けますが、ターゲットは猫です。
直木賞作家、角田光代さんちの猫トトの観察エッセイです。
引っ越し先になじめるかと心配し、得意げに取れた虫を褒めてやるが、いつかは全人類が嫌う黒いヤツを見せに来るのではと怯えてみたり、良かれと思って寝床の毛布を干したらその寝床に一切近寄らなくなったといってがっかりしたり・・・
全てにおいてトト優先の生活。猫を飼ったことのない私には、そこまでやる?な部分もありましたが、なにより愛猫トト一挙手一投足に感情を振り回されながらも、見返りを求めない愛情の深さに幸せな気持ちになれる一冊でした。猫好きな方、ぜひどうぞ。(司書2)

 

2023.04.24
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.21

「和菓子のアン」 坂木 司/著 光文社文庫
高卒、進路未定、食べるのが得意で、ぽっちゃり体型の主人公アンちゃんが、百貨店で仕事をみつけて成長していく物語。青春まっただなかの女の子が見つけた職場は、百貨店の和菓子屋さん。ショートヘアで落ち着いた雰囲気の椿店長、おしゃれなカフェでギャルソンが似合いそうな長身の男性社員の立花さん、可愛い感じの大学生アルバイト桜井さんと主人公が絶妙のチームワークでお客様に寄り添うサービスを提供しています。
注文された和菓子の内容からお客様の心のうちを読み取ったり、お客様のニーズを想像する場面には謎解きの要素がちりばめられています。小説から和菓子の世界を味わってみてはいかがでしょう。続編「アンと青春」、「アンと愛情」もどうぞ。[教員(国際観光学科)1]

 

2023.03.20
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.20

『私、誰の人生もうらやましくないわ。ー児島令子コピー集め-』
児島令子/著 パイ・インターナショナル
コピーライター・児島令子さんの作品集。
大手企業のコピーも数多く手掛けておられるので、一度は見聞きしたことのあるコピーもあるはずです。
広告として生まれたことばですが、広告から離れても響くことばがたくさんあります。
短いけど、インパクトを残すことばを作る。うらやましい限りの才能です。
すでに、著者のことをうらやんでいますが、『私、誰の人生もうらやましくないわ。』言いきれたら、かっこいいですよね。(司書2)

 

2023.03.13
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.19

『ぼくにもできるよ! いっしょに学ぼう!!てんかんのこと てんかん啓発絵本』
みやざき こゆる/絵 波の会/著 少年写真新聞社
「てんかん」と聞いてイメージすることは人それぞれだと思いますが、てんかんにはいろいろな症状があり、日本では約100人に1人の割合になります。
重い症状の人もいますが、働いている人も出産して子育てしている人もいます。
この本はてんかんをもつ子どもが、友だちに症状について話す場面が描かれています。私自身子どもの頃、頻脈発作(不整脈の一種)を周囲に説明することができず困っていました。同じ発作性の症状があるてんかんのことは、ずっと気になっていてこの本を読んだ時は嬉しく思いました。
普段は何もない発作の症状を説明するのは難しいですが、このような本があれば伝えやすいです。子どもに関わる人や福祉・医療現場で働く人に手に取ってもらいたい絵本です。(図書館ユーザー1)

 

2023.03.09
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.18

『ぼくたちの大切な時間』 イナガキヤスト  KADOKAWA
この本は、富山県出身の写真家イナガキヤストさんの初の写真集です。美容師だったイナガキさんが、写真を撮るきっかけとなったのが子どもです。最初は、子どもの成長を撮っていたのが、やがて富山県内の風景を撮影をする写真家となりました。家族を撮影したもの以外に富山県内の代表的な風景の他、日常のよくある風景もその場所とは思えないくらいとてもきれいに撮影されています。私たちの住む富山県なのかと思わせるような素敵な写真がたくさんあります。ぜひ、ご覧ください。司書1

2023.03.06
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.17

『NHKラジオ深夜便 絶望名言』 頭木弘樹/著 飛鳥新社
「無能、あらゆる点で、しかも完璧に」カフカ
「明けない夜もある」シェイクスピア(マクベス)
「人生は地獄よりも地獄的である」芥川龍之介(朱儒の言葉)
本書は、「絶望名言」というラジオ番組を書籍化したもので、名言を対話形式で解説していく形となっています。
ここで紹介されるのは、明らかにうつむいた言葉です。
成功者の名言集は数多くありますが、とことんまで落込んだ時には眩しすぎて響きにくいものです。
絶望した時には、同じような境遇の言葉のほうが身に染みて不思議と癒されるものです。
文豪の絶望名言は、絶望感が強烈です。言葉が強すぎて落ち込んでいるはずなのに、なんか笑えます。
絶望中でも、そうでなくても面白い本です。
現在もラジオで放送中なので、興味のある方はそちらもどうぞ。(司書2)

 

2023.02.20
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.16

『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』 川内有緒/著 集英社インターナショナル
全盲の白鳥さんと美術館巡り?作品を見る?どうやって?
タイトルを見た全員が思うことですよね。
著者は友人マイティに白鳥さんを紹介され、一緒に美術館巡りの旅に出ます。
作品の前で、絵の大きさ、描いてあるもの、形、色合いの説明、受けた印象をそれぞれ話します。全盲の白鳥さんに伝わるように、言葉を選んで説明することによって、より細かく作品を見ていることに気づきます。
日頃、美術館にはあまり縁がありませんが、読後には、作品の見方が変わるような気がして、美術館を訪れてみたくなりました。
白鳥さんは、「読み返すことのない日記」として散歩しながら写真を撮っています。
ついには、美術館でその写真を展示することになります。
全盲であることを不自由と思わず、自分のやりたいことにまっすぐに取り組む白鳥さんの姿に、障害ってなんだろうと改めて考えさせられました。(司書2)

 

2023.02.07
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.15

でんしゃにのって

とよた かずひこ(著) アリス館

この絵本は、うららちゃんが、おばあちゃんのところへひとりで電車にのって会いに行くというお話です。おばあちゃんと会う駅は「ここだ」という駅です。「ここだ」駅に着くまでに車掌さんが「つぎは△△だー」と告げる駅には△△という動物が乗り込んできます。つぎの駅にはどんな動物が乗り込んでくるのか期待してしまいます。こうして、いろんな動物が乗り込んで電車が満員となり、最後に降りようとする「ここだ」駅に乗り過ごしそうになるうららちゃん。でも、みんなの親切もあり、無事、目的の「ここだ」駅につきました。駅の名前が面白いし、繰り返しが心地よく最後の最後まで楽しめる絵本です。

 

2023.02.06
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.14

『ライク・ア・ローリング公務員 まち思う 故に我あり』 福野博昭/著 木楽舎
高卒で奈良県職員を42年間勤めたスーパー公務員福野博昭さんの回顧録。
バリバリの関西弁の口語体で書かれており、勢いがあるのでさくさく読めます。
著者の仕事はとにかくパワフル!ブルドーザーで一気に道なき道を作っているよう。
奈良公園のゴミ問題を解決するために勝手にゴミ箱を撤去、当時、公衆トイレは和式が標準の時代に洋式に変更、東大寺の大仏前の景観をよくするために奈良公園の電柱地中化等、気が付いたことは即実行。まあ、よくも次から次へと思いつくもんだなと感心することしきりです。
管理職についてもデスクワークよりも、とにかく現場に出向いて自分で情報を仕入れる。
いろんな部署を渡り歩いていますが、どこにいても仕事が面白くて仕方ない。タイトル通り、立ち止まることのない著者の仕事に対する姿勢には、ただただ感服するばかりです。
帯文に「早めのドラマ化を希望します(笑)」とありましたが、本当にそう思える1冊でした。(司書2)

 

2023.01.30
図書館

図書館の本を読む-読書のたのしみ No.13

『新訳 弓と禅』 オイゲン・ヘリゲル /著 魚住 孝至/訳 角川ソフィア文庫
ヘリゲルが師事した師範が、真っ暗ななかにある的に第一矢を命中させ、続けざまに第二の矢を射、第一の矢の矢筈を割くというエピソードはよく知られていますね。師範の、的に当てようとしはいけない、ただ弓を引いて、矢がひとりでに離れるまで待っていなさい、との指導に困惑しながらも修練を積む過程が描かれています。「無心」にならなくてはいけないのですが、それを考えるほど無心から遠ざかるようです。ドイツの哲学者であったヘリゲルにとってはなおさらでしょう。稽古を始めて5年目で体得したようですが、西洋の合理的な思考と日本的な無心のこころを備えることは、ヘリゲルにとってだけでなく、現代の日本人にとっても大切なことのように感じます。私は以前岩波文庫版で読みましたが、KADOKAWA版は読みやすくなっているようです。(図書館長)